テレビ番組でおなじみのタレント・演出家であるテリー伊藤氏の等身大パネルが店頭に並び、街中で急速に店舗網を広げた唐揚げ専門店「から揚げの天才」。コロナ禍の外食不況を救う救世主として登場し、驚異的なスピードで出店を重ねた記憶はまだ新しいはずです。しかし、ブームの熱狂が去るとともに「近所の店がいつの間にかなくなっていた」「あれだけあった店舗が激減している」といった声がネット上に相次ぎました。
一世を風靡した唐揚げブームの象徴とも言える同店で、一体何が起きていたのでしょうか。SNSを賑わせた「まずい?美味しい?」という極端に分かれる口コミの真相から、運営母体であるワタミが下した事業判断、そして2026年現在の店舗状況まで、徹底的な取材とデータに基づいて真相を紐解きます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:最盛期に100店舗以上を展開した「から揚げの天才」は、市場飽和と原価高騰、特需の収束が重なり大幅な店舗整理を敢行。
- 要点2:味の評価が分かれた背景には、揚げたての美味しさとテイクアウトで時間が経った際の油っぽさのギャップが存在。
- 要点3:2026年現在は不採算店の一巡を経て、採算性の高い厳選店舗での地域密着型運営と商品力の再構築に注力している。
【ブーム終焉の真相】「から揚げの天才」に一体何が?急拡大から急転換の背景
居酒屋大手ワタミが手掛け、タレントのテリー伊藤氏を前面に押し出して2018年後半から立ち上がった「から揚げの天才」。とりわけ2020年から2021年にかけての出店スピードは凄まじく、コロナ禍による外食自粛やテイクアウト需要の急伸を追い風に、瞬く間に全国100店舗を突破しました。居酒屋「和民」などの既存拠点を唐揚げ店へ大胆に業態転換する戦略は、当時のビジネスモデルとして大きな脚光を浴びたものです。
ところが、日常の風景が戻るにつれて風向きは一変しました。街角を埋め尽くしたタレント看板の店舗が、わずか数年のうちに次々とシャッターを下ろす異例の事態に発展します。外食産業全体を巻き込んだ「唐揚げブームの崩壊」が叫ばれる中、同ブランドもまた急激な市場の冷え込みと構造変化の荒波に直面することになりました。
相次ぐ閉店の真相とは?テリー伊藤の唐揚げ店が直面した「3つの構造要因」
なぜあれほど勢いのあった店舗網が急速に縮小したのか。同社を取り巻いた事業環境の激変を分析すると、複合的な3つの要因が浮かび上がってきます。
第一の要因は、原材料費とエネルギーコストの歴史的高騰です。唐揚げの主原料である鶏肉(主にブラジル産輸入肉)の価格上昇に加え、揚げ油や小麦粉、電気・ガス代に至るまであらゆるコストが跳ね上がりました。当初売り物にしていた「1個99円(税抜)」という圧倒的な低価格路線を維持できなくなり、度重なる価格改定を余儀なくされた結果、消費者が感じていたお得感が薄れてしまった点は否めません。
第二に、競合ブランドの乱立による過当競争が挙げられます。唐揚げ専門店は専用フライヤーと小スペースがあれば低資本で開業できるため、異業種からの参入が相次ぎました。大手外食チェーンから個人店までが街中にひしめき合い、完全な供給過多に陥ったことで、顧客の奪い合いが激化しました。
第三の要因は、出店スピードを優先したことによる自社競合とテイクアウト特需の終息です。短期間に集中出店したことで商圏が重なり、自社店舗同士でパイを奪い合うケースが見られました。さらに、行動制限の緩和によって消費者が居酒屋やファミリーレストランなど店内飲食へ回帰したことで、中食・持ち帰りに依存したビジネスモデルが岐路に立たされたのです。
「まずい?美味しい?」リアルな口コミ評判と味の評価が分かれた根本理由
ネット上のレビューやグルメサイトを調査すると、評価が二極化している現象が目立ちます。実際に食べた消費者からは、一体どのような声が上がっていたのでしょうか。
肯定的な口コミで多く見られるのは、揚げたてならではのサクサク感と名物玉子焼きへの高い満足度です。「テリー伊藤の実家である築地『丸武』仕込みの玉子焼きが甘くてジューシー」「秘伝の黒醤油ダレが香ばしく、ご飯が進む」「揚げたての熱々を店舗で受け取った時は本当に美味しかった」という好意的な意見が多数寄せられています。
一方で、ネガティブな評価として指摘されていたのが「冷めたときの食感」です。「持ち帰って時間が経つと衣がベチャッとして油っぽく感じる」「味付けが濃すぎて後半に飽きてしまう」「衣が厚く、鶏肉のボリューム感が物足りない」といった辛口のレビューが散見されました。テイクアウト専門を主軸にしていたからこそ、「冷めても美味しいクオリティ」を全店舗で均一に担保し続けることの難しさが、評価の分かれ道となっていました。
テリー伊藤の実家「丸武」の玉子焼きと看板メニューのこだわり
「から揚げの天才」における最大の差別化ポイントは、単なる唐揚げ屋にとどまらず、テリー伊藤氏の実家である東京・築地場外市場の老舗玉子焼き店「丸武」のノウハウを融合させた点にあります。
看板商品のひとつである「からたま弁当」は、秘伝のタレに丸一日漬け込んだジューシーな唐揚げと、職人の技を受け継いだ出汁巻き玉子焼きを同時に味わえる構成で、多くの固定ファンを掴みました。唐揚げのバリエーションも、コクのある醤油ダレの「黒」、塩麹と極出汁で仕上げた「白」、特製辛味噌を使った「赤」など多彩なラインナップを用意。
開店当初の単品価格は約100円前後、お弁当もワンコイン前後と極めて手頃な設定で話題を呼びました。現在はコスト上昇に伴い改定が行われているものの、玉子焼きと唐揚げという「家庭の味の二大定番」を掛け合わせた商品コンセプト自体は、今なお高い完成度を誇っています。
ワタミ渡邉美樹会長の経営決断と「唐揚げ事業」の構造改革
急速な出店から一転してブレーキを踏み、大幅な店舗削減に踏み切った背景には、ワタミ創業者である渡邉美樹氏の迅速な経営判断がありました。
渡邉氏は外食市場の変化を冷徹に見極め、赤字店舗や採算の合わない拠点を躊躇なく整理する徹底的なスクラップ&ビルドを断行しました。無理に全国展開を維持してグループ全体の財務を圧迫させるのではなく、利益を出せる優良店舗のみを残す方針へと舵を切ったのです。
この大胆な事業再構築は、一見するとブランドの敗退と受け取られがちですが、企業経営の観点からは傷口を広げずに筋肉質な体制へ移行するための合理的な選択でした。居酒屋業態の回復やインバウンド需要の獲得へリソースを再配分しつつ、唐揚げ事業を健全な規模へと適正化させるプロセスだったと言えます。
【2026年最新】「から揚げの天才」現在の店舗状況と利用のポイント
かつての閉店ラッシュを経て、2026年現在の「から揚げの天才」はどのような状況にあるのでしょうか。
全国に100店舗以上あった拠点は大きく絞り込まれ、現在は首都圏の主要駅前や生活導線上にある商業施設、安定した地元需要を持つロードサイド店を中心とした展開に落ち着いています。無計画な大量出店期が終わり、確実なリピーターに支えられた店舗が生き残っている状態です。
現在の店舗では、従来の持ち帰り需要に応えつつ、ランチタイムの定食需要やWEB事前予約による待ち時間短縮など、利用者の利便性を向上させる取り組みが定着しています。最寄りの営業店舗を探す際は、過去の情報に頼らず、ワタミの公式サイトや公式アプリに掲載されている最新の店舗一覧を確認することをおすすめします。
【テリー伊藤の唐揚げ(から揚げの天才)】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:テリー伊藤氏は実際に店舗の経営を行っているのですか?
A1:テリー伊藤氏は出資や実際の店舗経営を行っているわけではなく、ブランドのプロデューサーおよび公式キャラクターとしての参画です。実家である築地の玉子焼き店「丸武」の味とノウハウを提供し、運営の実務や経営判断はすべて大手外食企業のワタミが行っています。
Q2:全国で閉店が続いたのは「味が悪かったから」なのでしょうか?
A2:味の好みによる賛否はあったものの、最大の要因は原材料費(鶏肉・食用油)の高騰や競合店の急増による市場飽和、そして店内飲食への人流回帰です。外食産業全体の環境激変に伴う採算性の悪化が、大量閉店の主たる引き金となりました。
Q3:2026年現在でもお店で唐揚げや玉子焼きを購入できますか?
A3:はい、現在も厳選された店舗で営業を継続しています。名物の「からたま弁当」や各種唐揚げ、丸武仕込みの玉子焼きも販売されています。営業店舗数や所在地は縮小されているため、事前に公式サイトの店舗検索で確認してから足を運ぶのが確実です。
まとめ:ブームの狂騒を超えて見据える「日常食」としての現在地
空前のブームに乗って一気に街中を席巻し、時代の変化とともに急激な淘汰を経験した「から揚げの天才」。タレントパワーと居酒屋再生を賭けた大胆な戦略は、外食産業の歴史に残るスピード感とダイナミズムを見せつけました。
大量閉店という事実だけを切り取るとブームの終焉と捉えられがちですが、不採算店の一巡を経た現在は、地に足のついた地域密着型の店舗展開へとシフトしています。熱狂が去ったからこそ、純粋な商品力と利便性が試されるフェーズに入った同店。揚げたての香ばしい唐揚げとどこか懐かしい甘い玉子焼きの組み合わせは、今も変わらず街の食卓を支えています。 (出典: テリー 伊藤 唐 揚げ(Yahoo!ニュース))